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林産物貿易自由化交渉の枠組み
林産物貿易交渉の経緯
貿易自由化の環境影響評価

林産物貿易交渉の経緯

●UR合意と日米二国間協議

1993年12月15日に最終合意されたUR合意の林産物分野においては、米国の関心品目について、実行税率からUR中間レビュー(89年4月)で合意された引下げ率(貿易加重平均で33%)以上の関税引下げを表明することになった。これは、90年6月のブッシュ政権下の米国との二国間協議「林産物措置」(いわゆる「日米林産物合意」)に基づいて行われた。その背景には、1980年代後半に盛んに行われた日米の二国間通商協議において、米国産業界が林産物分野を重視していたという事情があり、ブッシュ政権下の日米構造(障壁)協議(Structural Impediments Initiative:SII)、クリントン政権下での日米包括経済協議(Framework)においては、住宅分野や紙・パルプ分野、林産物の輸入政策などが議論されてきた。特に、住宅分野は「日米の規制緩和および競争政策に関する強化されたイニシアティブ(Enhanced Initiative)」の5つの優先分野の1つに指定され、林産物及び関連する建築関連分野の問題が議論された。日本での米国製木材製品の市場を拡大するため、日本に対し、建築基準法、日本工業規格(JIS)、および日本農林規格(JAS)などの規格・基準での障壁の撤廃を求め、木材製品や住宅建築資材の問題について話し合われてきた。また、紙・パルプ分野でも、日米紙協定:「日本における外国紙製品に対する市場アクセスを増大させる措置」が1992年4月より5年間実施(97年4月で終了)され、米国産の紙シェア(印刷用紙、板紙)の拡大が目指された。


●APECからWTOへ

1989年に発足したアジア太平洋経済協力(APEC)会議は、1993年のシアトル会合、1994年のインドネシア会合でのボゴール宣言以降、アジア太平洋地域で貿易・投資の自由化を進めるフォーラムとしての機能が強化された。特に、1997年バンクーバー会合で早期自主的分野別自由化(EVSL)が提案され、UR合意=WTO協定を超え、前倒し実施し、(WTO農業協定とサービス協定が再交渉される予定の)2000年までの空白期間にも、自由化の動きを別の角度から進めるために機能することとなっている。EVSLでは、アメリカ合衆国、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアなどの林産物輸出国によって、林産物を含む9つの分野について「2000年までに相互に関税を撤廃」が提案された。しかし、98年のAPECクアラルンプール会合で、EVSLへの日本政府の不参加表明によって、これらの林産物分野の関税措置についてはWTO交渉に委ねることになった。
APECのEVSL提案を引き継ぐ形で米国政府などによって林産物関税相互撤廃提案がATL:Accelerated Trade Liberalization(前倒し貿易自由化措置)としてWTOに提案された。米国森林製紙協会(AFPA)は、ATLを支持するために、関税の撤廃が、世界の林産物の消費増大につながるだろうと予測していた。そして、消費拡大による環境面への懸念についても、貿易自由化推進派の米国の担当者ドン・フィリップ補佐が「もし貿易障壁を下げさせることさえできれば、各国は環境に優しいアプローチをとるようになり、環境政策をそれに応じて作るようになるだろう」(IPS通信)と語るなど、楽観的で無責任な議論が行われていた。しかし、1999年の第三回WTOシアトル閣僚会合においては、様々な分野での利害対立とともに、WTOの意志決定プロセスの不透明性が露呈し、閣僚宣言すら発することもできず、閉幕してしまった。ATLも、議論すら行われず、何ら進展はなかった。


●日本政府の提案

シアトル会合において、日本政府は当初、林産物を独立した交渉分野として議論することを提案していた。ケアンズ諸国は、農工一体論の立場から反対し、米国はATLの立場から反対、さらに、農業分野で「多面的機能の友」グループを形成していたEUすら、この独立交渉グループ論に反対しており、シアトル会合中に、すでに林水産物独立交渉グループ論は消滅していた。日本政府及び与党は、2001年春には、公式にこの独立交渉グループ論を撤回し、環境関連の文言の中に、望みを託すようになっている。そして、2001年11月、第4回WTOドーハ会合において、林産物分野を含む「非農産物」分野でも、これまでの関税措置が交渉対象となるとともに、関税以外の様々な非関税措置をも対象とする貿易交渉が開始されることになった。

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