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林産物貿易自由化交渉の枠組み
林産物貿易交渉の経緯
貿易自由化の環境影響評価

プレスリリース:林産物貿易化交渉に関する見解
特に世界貿易機関(WTO)での交渉および二国間自由貿易協定(FTA)について

            「環境アセス」なくして、「自由化」なし。
   〜ブレーキのない坂道を落ちる危険な自転車:自由化交渉をストップ〜


 私達、日米のNGO4団体は、外務省、経済産業省、農林水産省、環境省の各担当者との「貿易の環境アセスメント」に関するワークショップを開催、また、議員会館での国会議員向けのセミナーを実施した。ワークショップ及びセミナーでは、貿易・投資の自由化による環境への悪影響を把握し、政策決定プロセスに統合していくための手法としてのアセスメントの意義を講師のスコット・ボーンさんが解説。これまでのアセスメント実施の経験から学んだ最も重要な教訓として、(1)完全な分析モデルというものはなく、(2)アセスメントプロセスに一般市民からの意見を組み入れるプロセスが不可欠であり、そうしないかぎり、モデルの不完全性を見損なうという過ちを回避できない点が指摘された。講師のスコット・ボーンさんは、世界貿易機関(WTO)や北米自由貿易協定(NAFTA)での勤務経験者であり、現在は、カーネギー基金の貿易プログラムに所属し、貿易の環境アセスメントのエキスパートとして活躍している。
 持続可能な森林経営の実現を目指して活動している日米のNGO4団体は、現在進められている林産物貿易に関する交渉への日本政府の交渉ポジションに関連して以下のような見解を表明する。


●「持続可能な森林経営」を実現するための貿易ルール実現の主張は支持。


 世界貿易機関への日本政府の林産物分野での提案において、持続可能な森林経営を実現することに配慮した貿易ルールの確立を目指している日本政府の立場を支持する。特に、貿易自由化が、内外の森林経営を困難なものとし、また、違法伐採、違法貿易の解決をより困難なものとしていることを認識し、こうした問題に対して貿易ルールの面からも対処すべきであることを表明していることを評価する。国内外の森林の劣化に対して、国際社会の一員として責任ある態度を取るためには、地球規模の環境問題であると同時に地域の社会・環境問題である森林の劣化を抑制すると同時に、持続可能な森林経営を促進することが可能とする貿易ルールが必要である。

 特に各国内での不完全な森林政策が実施されている現在の状況下においては、貿易の自由化は、国内外での持続可能な森林経営をさらに困難にするだけであり、持続可能な森林経営の阻害要因ともなるのである。森林の持続可能性に悪影響を与える貿易自由化交渉はストップし、各国での持続可能な森林経営を促進する貿易ルールを検討すると同時に、各国内での持続可能な森林経営実現のための政策(違法伐採・木材の違法取引対策)を優先させるべきであると考える。


●環境アセスメントプロセスを経ることなく、貿易自由化を行うべきではない。

 私たちは、99年の第3回シアトル会合以前から、貿易に関するアセスメントが、自由化の前に必要だということを主張しつづけてきた。WTO加盟国である4大主要国(Quads)とされるの他の三国、アメリカ合衆国、カナダ、EUは、曲がりなりにも環境アセスメントプロセスを実施している。一方、日本においては未だ実施されたことはない。しかし、この貿易に関する環境アセスメント実施はヨハネスブルグ・サミットでの「実施計画」としても取り上げられており、ヨハネス・サミットのフォローアップとしても意義を持っている。

 私達は、日本政府として、自らの提案(多面的機能論を含む)を広く説得し、証拠立てるためにも、貿易に関するアセスメントを実施し、貿易自由化による環境影響評価を明示し、これに基づいた改善・回避措置としての関税・非関税措置の必要性や、代替案としての具体的な貿易ルール提案を主張するべきであると考える。

 そして、そもそも環境基本法(93年11月19日公布)第十九条では、国の施策の策定等に当たっての配慮として、「国は、環境に影響を及ぼすと認められている施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全について配慮しなければならない」と定めている。この規定に基づき、日本政府の政策決定の説明責任として、貿易(WTO及びFTA)・投資自由化協定の署名・批准の段階での判断のために、交渉及び協議の段階において、事前に環境影響評価(特に森林)を実施する必要があるのではないだろうか?

 さらに、私達は、世界貿易機関(WTO)及びWTO加盟国政府に対して、WTO交渉結果を合意する前に、それらの合意事項が世界の地域環境や地球環境、特に持続可能な森林経営を促進こそすれ、決して阻害しないものであることを証明することを要請する。


●ラベリングは非関税障壁とすべきでない。

 持続可能な森林経営を促進するための措置として、環境に配慮するための「ラベリング」は、環境保全のための重要なツールとなり得るものであり、これを、排除すべき非関税措置として取扱わないことを確認すべきである。


●交渉方式について

 そして、WTOにおいて、これまで行われてきたような一律の関税引き下げ方式では、こうした問題を取り扱うことは不可能であり、個別分野ごとの議論を行う必要がある。よって、交渉方式としてすべての分野の関税措置、非関税措置を一括して取り扱うような交渉方式を採用すべきではない。

 世界貿易機関(WTO)では、市場アクセス分野(林産物貿易の関税・非関税措置が議論されている)の交渉が今年から開始され、現在、交渉方式に関する各国提案が行われている。一方、日本政府はメキシコ、韓国、ASEAN等との二国間自由貿易協定(FTA)交渉を開始されようとしている。しかし、これら貿易・投資自由化は、特に森林分野において、国内外の持続可能な森林経営の実現を阻害し、また違法伐採・違法貿易を加速する機能を果たしかねない。違法伐採・違法貿易は深刻な状況にあり、熱帯林の保有国であるインドネシア、ブラジルでは8割の伐採が、違法伐採であるとも推計されている。森林保護のための十分な国際的枠組はなく、また各国内において不完全な森林政策、環境政策しか実施できていない現在の状況の下で、WTOやFTAでの貿易・投資の自由化は、さらなる森林劣化・破壊を加速していくことを意味する。

以上

AMネット、FOEJ、熱帯林行動ネットワーク、Pacific Environment

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