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日本の対中緑化協力
                                        2001/12/14  岡崎 時春

地球の友ジャパンは昨年から、ホルチン砂漠東端での砂漠拡大防止のための植林事業を始めた。中国は乾燥化・砂漠化が進行拡大中で、今や全国土の25%を越えようとしている。特に黄河流域はひどく、深刻な水不足が首都北京に迫っている。
一方、森林面積は1949年に8%前後だったのが、2000年には15%前後と、統計上は増えている。それなのに長江は頻繁に洪水に見舞われる。長江の中・上流域の開発が進行するに伴い、水源涵養林が失われているからとも言う。森林面積の増加は、盗伐の増加によって相殺され、真の森林資源の増加は疑問であると思わざるを得ない、日本への春の黄砂の飛来の増加、石炭など化石燃料がもたらす酸性雨など、中国の沙漠化の日本への影響が年毎に増加している。
リオサミットで「沙漠化防止条約」が出来て以来、中国はこれに真剣に取組んでおり、世界から各種の資金援助を仰いでいる。長江の洪水対策としての緑化も、同じ線上にある。以下、日本から砂漠緑化や植林事業に、どのような資金援助・人的支援が行われているか、それぞれの問題点を含め、皆さんに知って頂きたい。

1 ODA円借款・植林事業に120億円
陜西省、山西省、家蒙古自治区のそれぞれに10万ヘクタール(東京都の半分の面積)ずつの森林を造成しようと言うもの。実施主体はいずれも省の人民政府。目的は地域の森林率の向上、土壌流出防止および農家の収入向上を図るとあり、経済林(林産業)の育成ではない。そうだとすると、借款と言うのは問題だと思う。ODAなので金利0.75%、10年据置の40年償還である。受益者負担でないとすると、中国国民の将来の税負担で返すことになる。日本からの円借款累計は3兆円に近い。世界中でODA債務の取り消しが議論されている。ODAが不良債権化して、日本国民の税負担に跳ね返らねば良いが。
植林事業の場合、末端の事業体は小さい、そして数が多い。資金を如何に配分していくか、
中央政府から末端の小役人まで、裁量の余地が沢山あり、利権・汚職で、資金の有効活用に疑問が残る。中国へのODA全般が問題にされている所以でもある。10年前にフィリッピンで日本から200億円のODAをつぎ込んだのに、植林された面積の70%は、幼木の段階で盗伐に遭い、禿山に戻ってしまったとの報告がある。地元住民には盗伐の意識はない、林地の所有権が確立しておらず、成木伐採の収益の配分にも与れないからだ。中国も全て国有林、住民が「自分達の森」と意識しない限り、持続的森林管理は難しい。

2 いわゆる「小渕基金」2000年・1.6億円、2001年・2.9億円(無償資金供与)
1999年、長江の大洪水と、黄河の断流が莫大な被害をもたらした翌年、江択民の要請で時の総理大臣・小渕恵三が100億円の緑化基金を約束したもの。年度毎の事業は基金の利子分を日中の民間協力団体に助成して行こうと言うもの。国土緑化推進機構の中にある,「日中緑化協力基金」が毎年公募している。民間ベースと言いながら、中国側は北京の林業局が取り仕切るので、地方の植林実施母体も民間とは言いがたく、日本の緑化NGOに取っては参入がかなり難しい。日本側も外務省・林野庁の外郭団体のような所に行ってしまう可能性が大きい。従って単価の高い植林事業になりかねない。役人の中間搾取もありうる。(2001年は29団体で平均900万円。日中青年研修協会、日本青年団協議会、日中建設技術友好協会、世界青少年交流協会など、植林NGOには聞きなれない所に出ている)

3「緑の募金」事業・国土緑化推進機構、2000年・8,700万円、2001年・9,000万円
この金額は国際緑化で全世界合計だが、中国が圧倒的に多く、金額で40%を占めている。これは殆ど緑化ボランティアNGOへの助成と考えてよい。1団体、100−150万円と少ない金額である。2001年は19団体に出ている。地球の友ジャパンのホルチン砂漠植林もその一つ。助成金だけでは、植林後の育成管理の費用が捻出出来ず、NGOの資金か、植林に参加する人から寄付金を募らないと、緑化活動を継続出来ないのが問題である。

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