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今や、地球上の森林資源は、60億の民を養うには限界に来ている。 |
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森林は太古より人類の生活の場であり、その恵みを受けたが故に、大切に育ててきたし、その中に精神的拠り所を求め、様々な神が宿るとして祭ってきました。しかし農耕・牧畜文明の発達で、半分以上の森林が消滅、さらに都市文明の発達で森林との共存関係が崩れました。今、世界の経済がグローバル化し、森林が経済的資源としてのみ扱われるに至り、森林の崩壊は加速度的に進行しつつあります。途上国における森林消失速度は、1990以降の5年間で1,300万ha(日本の面積の1/3)年率0.62%となっています。(UN・FAOによる)
世界中で、特に先進国で10年来、森林保護が叫ばれてきました。リオ地球サミットでは森林原則声明などが採択されました。その後も国連傘下のIPF/IFFなどで、何か拘束力のある取決めが期待されましたが、しかし、環境価値と経済価値の取り方が、各国間で大きく異なり、未だ森林減少に歯止めが掛かっていません。しかも(下記の)世銀報告によると、森林資源の豊富な多くの国では、木材供給の半分が違法・不法伐採によるものであり、しかも従来型の伐採・製材・輸送過程で70%もの材が、無駄に破棄されているということです(アマゾン・インドネシア・ロシアなど)。 |
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国際金融機関の役割 |
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一方、アフリカでは30年来、アジアでは20年来、途上国の経済は、国際金融機関に依存しています。アフリカに対しては債務帳消し問題が、インドネシアに対しては融資再開問題が、今議論されている所です。国際金融機関の森林関連プロジェクトは金額的には大きいものではありませんが、融資(債務)の返済に当たっては、森林資源が脚光を浴びることになります(IMFの記事参照)。特に近年世界銀行もアジア開発銀行も「貧困救済」プロジェクトに注力をしています。森林資源の活用は「貧困救済」プロジェクトに組み込まれることが多いですが、融資申請の段階では森林資源を活用しても、再育成をして持続的森林経営が貫けるようになっています。
世界銀行は1991年に「森林政策」を改定して、森林資源の減少に歯止めを懸けようと、「持続的森林経営」と「森林・生態系保護」という2つの柱で、金融支援を行ってきたましたが、1999年後半に至り、世銀内の評価部門(OED)で、1991年の政策がうまく機能してないとして、全面的見直しに入りました。
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2000年始めに、最初のReview Paperが、理事会に対して、内部報告の形で出された。 |
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近日中に正式報告書が出されることになっていますが、その背景には2つの地球的規模の問題があります。
1. COP3地球温暖化抑制・京都議定書で温暖化ガスの排出規制数値目標が出され、森林の炭酸ガス吸収が今や地球規模の課題になったこと。
今や森林の価値はローカルな経済価値だけで無くなり、2000年11月のオランダでのCOP6は森林の炭素吸収が最大の問題です。
2. 経済のグローバル化・貿易/投資の自由化が、南北問題をクローズアップさせ、WTO/IMF/World Bank の金融・貿易政策が、貧困を助長していおり、その中で森林資源の崩壊も引起こしているとして、NGOにより世銀政策の見直しが強く要求してきたこと。
( 世銀はその融資規模の大きさ、強い影響力で、今や「途上国への経済支援」の主導的役割を演じており、その政策がアジア開発銀行や、日本の国際協力銀行に、大きな影響を及ぼしているので「世銀の森林政策」を注視する意味は大きいと思われます。)
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世銀の森林関連・融資額の概要 |
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この報告の中で、世銀は1992から1999の8年間に森林関連プロジェクトに対し4000億円の融資を行いました。しかしこれは世銀の全融資額の2%にも満たないものです。1984から1991の8年間に比べて今回の融資は78%の伸びです。中味を見ますと、植林事業などの森林への直接融資は伸び悩み、保護区の設定、生物多様性、ゾーニング、少数民族保護、地域住民参加などの森林関連が、東欧・中欧地域で特に伸びました。熱帯雨林を持つ国は、融資対象重点地域に指定されたにも拘らず、より大きな経済効果が見込める開発融資が求められ、資源保護を前面に出した「1991森林政策」は敬遠され、それゆえに熱帯雨林の崩壊も食い止めることが出来ませんでした。 |
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森林政策を如何に変えようとしているか?(6つのポイント) |
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融資を受ける当事国の経済効果と、融資を与えるドナー国の環境恩恵とのシナジー効果を発揮出来るような政策・仕組みに変えていくことが重要です。(森林に経済価値以上の<環境価値>を認めて、途上国にとって森林融資プロジェクトが魅力あるようにすること)
1 開発目的と保護目的を上手く調和させたプロジェクトを、企業・NGO・市民社会・研究機関のより強固なパートナーシップの元で形成すること。
2 天然林の違法伐採を減少・阻止できるよう「ガバナンス(統治・管理)」の改善を企図すること。
3 熱帯雨林だけに焦点を絞るのではなく、生物多様性・炭素吸収の潜在能力の大きな森林資源、さらには燃料用の木材採取のため砂漠化が進行し貧困層と生物多様性が危機に直面している温帯林・熱帯乾燥林などにも注力すること。
4 少数民族の権利を守ると共に、森林政策が全ての貧困層に与える影響を勘案すること。
5 生物多様性や炭素吸収など森林による地球レベルの恩恵を作り出す国に対して、それを十分補償するような、譲歩的・譲渡的―金融・メカニズムを作り出すこと。
( 例えば、Prototype Carbon Fundのように。―― NGOはこれを疑問視しているが )
6 世銀の内部の組織・手続きが、森林政策が上手く機能するように、改められるべき。
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世銀の森林政策は地球環境の保全に向かっているのか? ―― NGOの視点 |
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上記の6アイテムにはNGOが主張してきたことが取り入れられてはいますが、やはりまだ「森林関連プロジェクト」についての政策、というように、(こじんまりと)纏まって仕舞うような気がしています。
今年6月に、チャドの油田からカメルーンの港まで1000kmのパイプラインへの世銀融資が、NGOの3年に亘る猛反対を押し切って決定されました。カメルーンには熱帯雨林があり、少数民族がいます。世銀は何度もルートを変更し、環境影響・社会影響が少ないと主張していますが、隣国ナイジェリアの住民と政府・企業との闘争の歴史を再現するであろう事は誰の目にも明らかです。今年8月には、鉱山開発と森林保護をセットにした世銀融資が、ロシア環境庁が資源省に吸収された直後に決定されました。環境庁は返済用の外貨を稼ぐためには障害であったのかもしれません。
世銀には沢山の環境専門家がおり、調査も報告も、そして「Policy Paper」も沢山出来ています。しかし個々のプロジェクトの審査・承認過程で、これらのPaperが生かされているのか、甚だ疑問だと思います。特に森林破壊を引起こす「資源開発」「ダム」「道路・鉄道」「農村開発」「貧困救済」「産業植林」などのプロジェクトは「Policy Paper」に惑わされることなく、個別に監視していく必要があります。
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