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サウグダム
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1.フィリピン:サウグ多目的ダム事業とは?
プロジェクトの概要

目的: 灌漑(6,730ヘクタール)
         =農業開発支援を通じた農業生産性の向上による農村地域の持続可能な発展
         =灌漑用水の安定供給と排水施設の提供を通じた農業生産性の向上
     発電(2,500kw)
     洪水制御
     家庭用水の供給
     水産養殖

   フェーズ1 (5年):
     ・ 約4,300ヘクタールを灌漑するためのダムと灌漑排水施設の建設
     ・ 洪水制御施設の設計を含むフェーズ2の審査・準備と環境影響調査の準備

   フェーズ2 (5年):
     ・ 堤高46メートルのダムの建設
     ・ 水力発電、給水、水産養殖施設の建設
     ・ 新規700ヘクタールの灌漑排水施設と
      既存のサウグ川下流灌漑施設1,730ヘクタールの補助灌漑施設の建設
     ・ 再定住地の開発
     ・ 洪水制御施設の建設

総事業費: 約38億ペソ(2001年価格水準)

事業実施者: フィリピン農業省(DA)/灌漑庁(NIA)

融資機関: フィリピン経済開発庁(NEDA)は日本政府/国際協力銀行(JBIC)へ円借款を要請予定

サイト位置: ミンダナオ島南部
          北ダバオ州アサンション町ブアン村(ダム建設予定地)、カマンサ村
                 ニュー・コレラ町マンビング村、カビディアナン村
          コンポステラ・バリー州モンテヴィスタ町
                 サン・ヴィセンテ村、マヤオン村、ニュー・ダラグエテ村

被影響住民の数: 上述各村に暮らす先住民族ルマドDibabawonsとManguangans部族、小農民20,000人
             (約600ヘクタールの先祖代々の土地や第一級農地の水没)
2.日本との関わり
社団法人 海外農業開発協会(OADA)の役割: 実行可能性調査の補助調査(2002年3月)
※ OADA=農林水産省と外務省の認可により設立

国際協力銀行(JBIC)の役割: 融資の要請・打診をされる可能性)
3.問題点
@先住民族ルマドおよび小農民の移転と生計手段の喪失に関する懸念

・ ダムの貯水池の底に水没する土地、また、水路やアクセス・ロードに使用されることになる土地の600ヘクタール以上はDibabawons部族およびManguangans部族の先祖代々受け継いできた土地として類別される。事業が進み、ダムが建設されれば、ルマドの人々が生計手段を失い、先祖代々の土地から移転させられる結果となる。

・ とうもろこし、高地米、コーヒー、バナナなどの果樹を植えて農業を主体とした生活を送ってきた小農民が移転させられ、主要な生計手段を失うことになる。

・ 地域社会のなかでの不和や争いを引き起こすことになる。
A先住民族の「自由かつ情報を十分に与えられた上での事前合意(FPIC)」に関する懸念

・ 地元のステークホルダーである先住民族の人々は、実行可能性調査(F/S)の行なわれた当時、計画・意思決定に関わっていない。

・ 先住民族の人々が同事業への反対を表明するまで、NIAと北ダバオ州知事は先住民族の参加を求めなかった。

・ 事業推進派によるタスク・フォースFPICが作られ、同事業に合意するよう地域社会や親戚に対する説得が続けられたこともあったが、サウグ川沿いの先住民族は依然としてダム建設に反対している。
B情報公開と協議に関する懸念

・ NIAによって開かれた協議が適切でないとの報告がなされている。(ダム建設の影響を受け、水没するアサンション町カマンサ村の住民は、ダムの直接的な影響を受けない人々が多くいる場所へ連れて行かれ、そこで事業の賛否が問われた。)

・ 協議のなかでは、事業の利点のみが説明され、(下述するような)地震に関する情報などには言及されなかった。(2001年3月29日のNIAによるニュー・コレラ町での協議。この協議の中では一切資料は配布されず。)

・ NIAによって開かれた協議で配布された情報・資料は、地元住民が理解することのできない英語で書かれていた。(2002年8月14日のNIAによるアサンション町カマンサ村でのフォーカス・グループ・ディスカッション。)

・ 事業への着手とともに、大規模な軍隊の展開が被影響地域で行なわれており、農民や先住民族が嫌がらせなどを受けるケースが報告されている。
C地震・活断層に関する懸念

・ 北ダバオ州は、The Philippine Rift Zone(The Philippine Fault)、The Philippine Trench、the Davao Trenchという3つの地震発生地域に近接していることから、活断層地域であると考えられている。もっとも考慮されるべき重大事項は、同事業地が、世界でも主な断層の一つとして知られるThe Philippine Rift Zoneから2km内に位置していることである。

・ 同事業はこのような条件の下、環境的に危険な事業である。

・ 土壌のサンポルや土壌分析の結果、事業設計に適さない土壌構造の欠陥が指摘されている。
D河川生態系の破壊に関する懸念

・ 水没する約600ヘクタールの森林地帯は貯水前にすべて切り開かれることになる。

・ 水没地域、事業地、集水域、また河川系全体における既存の動植物相、生物多様性の喪失や自然帯水層の破壊に伴う生態学的バランスの崩壊が懸念される。
4.経緯
1995年
2001年3月29日
2001年6月25日
2001年8月
   〜2002年4月
2001年9月
2001年11月
2002年3月
2002年8月14日

米の増産を目的とした政府戦略の一つとしてNIAが事業を概念化
NIA、ニュー・コレラ町で公開協議を開催
北ダバオ州の州開発評議会が事業を承認
NIA、地質調査。堤高46mのダム建設は不適当であること、ダム事業地が活断層を横切っているという結果が出る。
社団法人 海外農業開発協会(OADA)による第一回現地調査
OADAによる第二回現地調査
OADAの調査報告書の発行
NIA、アサンション町カマンサ村の住民を呼び協議を開催住民は事業に対する懸念を表明するレター(カマンサ村145人の署名付。2002年7月30日付)を提出
5.現在の状況
・ NIAによる環境影響評価などの調査が継続されており、環境天然資源省(DENR)からの環境応諾証明書(ECC)はまだ発行されていない。

・ フィリピン経済開発庁のホームページによれば、JBICの円借款が融資元として明記されている。
 > https://www.neda.gov.ph/odamon/ProjectProfile.asp?ProjectId=600

・ 地元でコンサルテーションなどが行われてきたが、地元住民・先住民族による反対運動が続けられている。
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