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パブリックミーティングに関する要請書をJBICへ提出
*** ご報告 ***

下記のレターに対して3月17日にJBICより回答をいただきました。
詳細はこちらをご覧ください。 >JBICからの回答

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昨年12月、事業者サハリンエナジー社(SEIC)が環境影響評価補遺版(英語・ロシア語)を公表したのを受け、FoEJapanでは、2月3日、JBICに対し今後のJBICの対応を問うレター提出しました。

レターに対するJBICの回答は、「日本語の環境影響評価補遺版が公開された後、サハリンエナジー社とともにパブリックミーティングを行う予定」というものでした。それを受け、FoEJapanは、JBICが開催を予定しているパブリックミーティングに関する要請書を作成し、3月10日付けでJBICに提出いたしました。

この要望書には、2日間という短い期間で、62名の方々からの賛同をいただきました。ご賛同ありがとうございました。

以下、3月10日に提出した要請書の要約と全文です。

【要約】

◎環境影響評価が不十分であると指摘され、公表された追加情報(環境影響評価補遺版)は、 これまで関係者が上げてきた野生生物・生態系への影響や、油流出事故の予防や対応への懸念 を払拭する内容ではない。

◎JBICが、最終的な融資判断を行うにあたっては、最低限、同事業による負の影響を、日本や 国際社会が受け入れ可能な範囲内までに大きく軽減する具体的な措置を講じ、フォーラムなど に出席して意見を述べてきた関係者の理解や納得が得られる状況を今後開催される会合を通じ て作り出すことが必要。

◎JBICは、追加情報が日本語で公開された後、ある程度の時間をおいてSEICと共同でパブリッ クミーティングを開催する意向にある。しかし、JBICが融資の審査対象としているSEICと同じ 立場に立って、開催するというのは理にかなわない。パブリックミーティングは、JBICの責任 において開催されるべき。

◎パブリックミーティングの開催にあたっては、1)遅くとも1カ月前に告知をすること、2) 個別項目ではなく、包括的に議論ができる場を設定すること、3)時間を3時間以上確保し、 参加者が発表を希望する場合は、その時間を確保すること、4)今後のJBICとの協議の方法に ついては参加者の意見を聞き議論すること、5)逐語の議事録を発言者の氏名入りで作成後、 早期に公開すること。
 
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【全文】
2006年3月10日

国際協力銀行
総裁 篠沢 恭助 殿

サハリンU石油・天然ガス開発事業 環境影響評価補遺版公表後の貴行の対応について


 先のFoE Japanの書簡に対するご回答をいただきありがとうございました。貴行が、環境影響評価(EIA)補遺版の日本語版が公表された後、ある程度の期間をおいて事業主体者であるサハリンエナジー(SEIC)と、東京・札幌でパブリックミーティングを開催するご意向であることが分かりました。これに対し、以下のように意見・要望いたします。

これまでの経緯:
 2003年6月に貴行がSEICから融資要請を受ける以前より、日本の専門家や市民は、サハリンU石油・天然ガス開発が、現地や日本、特に北海道に環境面や社会面での負の影響を及ぼすことを懸念し、それを貴行に対し伝えて参りました。例えば、2003年に公表された環境影響評価書に対し、日本の専門家による検証レポート及び意見書(※1)が提出されていますが、当時の検証結果に基づく専門家の結論は「環境影響評価(EIA)のデータの収集、調査、解釈に問題があり、生態系全体を考慮した評価がなく構造的にも欠陥がある」というものでした。さらに、国境をまたぐ影響についての評価も欠けていることなどの理由から、「このEIAが融資を判断するに足る材料とはなりえず、これに基づく対策の構築・モニタリングの実行は不可能である」とされました。

 SEICはその後も急速に開発を進め、負の影響の未然防止のためにこれらの情報を積極的に活用する様子は見られませんでした。一方で貴行は、2004年10月に「サハリンIIフェーズ2に係る環境関連フォーラム」を設置し、日本の関係者からの意見を幅広く受け付けました。その場で貴行は、サハリンII事業への融資実施にあたっては関係者の「納得できる状況が必要」であると発言し、貴行の融資審査や判断について、説明責任を果たす姿勢を明確にしました。そして、審査の対象であるEIA補遺版の公開後、再び会合を開催することを約束しました。

2005年12月公表のEIA補遺版について:
 2005年12月、SEICは外部から要求に応える形でEIA補遺版を英語とロシア語で公表しました。日本語版は3月に入って公開されたことが知らされたため、日本の多くの関係者はようやく検証作業を開始したところです。ただし、野生生物や油流出事故対策の専門家を中心に、英語で書かれた補遺版に基づく検証作業を進めており、これまでの検証過程で、EIA補遺版はこれまでの懸念や問題点を払拭するものとは言えないという意見が多数出されています。以下、現在までに指摘されている問題点を、いくつか例示します。

<油流出>
 全体を通じて、方針や手続きなどの記述に終始し、「どのように実現されるのか」という内容の具体性に乏しく、また、過去に公開された油流出対応計画(OSRP)との関連や対照についての具体的な記述がないため、改善点などについて評価することができず、「補遺版」の内容とはなっていない。

<生態系への影響>
 包括的な生態系の保護という観点が欠如したまま調査や検討が行なわれているため、ある種への影響緩和策が他種への悪影響になることが予想される。十分な科学的調査に基づいた生息環境の改変や油流出事故時における影響の予想、また具体的かつ根拠性のある回避・緩和策が検討されていない。EIAで十分な記載が認められなかったアザラシ類、魚類、渡り鳥等について、補遺版でも十分な定量・分布調査が年間を通じて行なわれていないなど、正確な現状の把握につながる客観的な情報収集ができていない。

パブリックミーティングに関する要請:
 これまでの上記のEIA補遺版に対する検証結果から、サハリンII事業は日本の政府機関である貴行の持つ環境基準(※2)を満たしておらず、融資を受けるのに十分な事業にはなっていないと考えます。貴行が最終的な融資判断を行うにあたっては、最低限、同事業による負の影響を、日本や国際社会が受け入れ可能な範囲内までに大きく軽減する具体的な措置を講じ、フォーラムなどに出席して意見を述べてきた関係者の理解や納得が得られる状況を今後開催される会合を通じて作り出すことが必要です。そのためには、まずサハリンII事業に対する、貴行融資基準を科学的かつ具体的に示し、これまで本問題を注視してきた関係者に加え、メディアを通じて広く日本国民にその妥当性を問うためのフォーラムを開催するよう要請します。

 また、SEICと共同でパブリックミーティングを開催する予定とのことですが、貴行が融資の審査対象としているSEICと同じ立場に立って、開催するというのは理にかないません。日本の環境・地域社会にも大きな影響を及ぼしかねないサハリンII事業への融資の判断を求められている以上、パブリックミーティングは、貴行の責任において開催されるべきです。以下、フォーラム開催にあたっての提案をいたします。

  1. フォーラム開催の案内は、少なくとも1ヶ月前に出すこと。特に負の影響を受ける可能性のある人々、サハリンII事業の環境及び社会への負の影響に関し懸念や問題意識を持つ人々に広く知れ渡るよう配慮すること。メディアを通じ広く日本国民にも是非を問うこともお考えください。

  2. これまでのフォーラムのように、「野生生物」「油流出」など個別の問題点で時間や議題を分けず、全ての問題について参加者全員が包括的に議論できる場を設定すること。

  3. ミーティングの時間は3時間以上確保すること。参加者がプレゼンテーションを実施したい場合は、その時間を確保すること。

  4. 今後の貴行との協議の方法について、参加者の希望や意見を聞いていただき、議論する時間を確保すること。

  5. これまでのフォーラム同様、逐語での議事録を発言者の氏名入りで作成し、早期に公表すること。

 以上の要望事項に対する貴行の対応につきまして、3月17日(金)までにご回答いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。


連絡先:国際環境NGO FoE Japan
東京都豊島区目白3‐17‐24‐2F
TEL (03)3951-1081 FAX (03)3951-1084

(賛同者 62名)
*個人名の掲載は省略させていただきます。

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(※1)2004年1月31日資源金融部第2班課長及び環境審査室課長宛。>検証レポートの概要はこちら
(※2)環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン

   
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