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サハリン先住民族が決起 JBICへ要望書提出
2005年1月14日


サハリン先住民族、民族学的アセスメントを求めて、1月20日に決起
JBIC に石油会社との調停を要請


ニブフ、エベンキ、ナナイ、ウイルタなどサハリン北部の先住民族が、サハリン島で行なわれている石油・ガス開発に抗議し、1月20日より「建設道路封鎖などの抗議行動」を行なう決定をしました。先住民族はサハリンエナジーなど石油会社に対し、開発が先住民族の環境と伝統的な生活に与える影響を判断する「民族学的アセスメント(文化影響調査)」の実施を求めています。

これに先立ち先住民族の代表は、12月28日、国際協力銀行(JBIC)など4行に対し、石油会社との問題解決を行なう「調停役」として、抗議行動に合わせてサハリン入りを要請するレターを提出しました。憲法に基づく権利を訴える先住民族に対して、州政府や石油会社から不当な圧力がかけられる恐れがあるとされており、問題解決にはJBICなど金融機関の関与が重要だとしています。

以下、レターの全文です。

___________________


国際協力銀行
総裁 篠沢 恭助 殿

ユジノサハリンスクで2004年10月29日、第5回サハリン北部先住民族大会が開かれました。少数民族の代表が集まり、サハリン島で進められている石油ガス開発が、サハリン少数民族の古来の環境や伝統的な土地使用、および生活に与える複雑な問題について話し合い、分析しました。

そこで我々は、この開発によって少数民族と石油会社の間に生態学的・社会経済的にさまざまな問題が起こっていることを確認しました。石油会社の中には、サハリンII第2期工事に伴い、現在貴行に巨額の公的資金の融資を要請しているサハリンエナジー社も含まれます。

今大会で少数民族の代表は、採掘基地モリクパックが設置された1998年以来、サハリンIIプロジェクトが先住民族に対して漁業資源の損害など数々の影響を及ぼしていることを宣言しました。こうした状況にもかかわらず、サハリンエナジーとその株主のシェル、三井、三菱は、先住民族コミュニティに対し、適切な補償を直接行なってきませんでした。同 プロジェクトが始まってから10年の間にサハリンエナジーが行なった慈善的金銭支援は約33万ドルと十分なものではなく、そして今、同プロジェクトは急ピッチで進行しています。

我々は、サハリンIIプロジェクトの建設により、パイプラインがサケの産卵する川を掘り起こし、横切ることで漁業資源が減少することや陸上パイプラインがトナカイの牧草地や何種もの野生生物が生息する森を破壊すること、そして先住民族の環境が汚染されることを懸念しています。

先住民族が伝統的に使用する土地での動植物への被害は、先住民族の生活に死活的な損害をもたらします。しかしこれまで、先住民族の伝統的な土地使用や生活様式に与えられた損害は考慮されておらず、サハリンエナジーの経営者にも明らかにされていません。

それゆえに、第5回サハリン北部先住民族大会の代表は、サハリンIIを含むサハリン石油開発計画が、先住民族の伝統的な自然資源の保護のために近代的かつ文明的なアプローチを取っていないどころか、先住民族の厳しい生活状況をさらに悪化させていることを声高に表明します。

開発が進む中、第5回サハリン北部先住民族大会は、サハリンIIプロジェクトの主要な道路やパイプライン建設ルートを塞ぐ抗議行動を実施することを決めました。指揮を取るために設置された特別運営委員会によって、2005年1月20日より封鎖を開始することが決定されました。

我々の要求は、サハリン先住民族の環境と伝統的な自然資源使用に対してサハリンIIプロジェクトが過去、現在そして将来に与えた(る)影響を判断するための「独立した民族学的アセスメント(文化影響調査)の実施」だけです。

先住民族に与える影響に関して、サハリンエナジーが行なった環境社会影響評価書(ESHIA)は信用できるものではありません。民族学的アセスメント(文化影響調査)は、完全に独立的に行なわれなければなりません。それを実現するためには、「先住民族コミュニティあるいはその代表が、独立専門家か専門的組織を選ぶ権利を有すること」と「サハリンエナジー社が、民族学的アセスメント(文化影響調査)にかかる費用を負担すること」を提案します。同プロジェクトの設計変更なども含めた、適切で不可欠な予防措置と補償方法を決定できるのは、この方法 しかありません。

これまで、問題解決を探るために石油会社と対話を試みてきました。石油会社に対し、独立民族学的アセスメント(文化影響調査)の実施に合意し、サインするよう提案してきました。そして2004年12月15日、サハリンで開発を行なっているすべての石油会社と会合を持ちました。しかし、ロシア国営企業ロスネフト社からCEOのラミル・バリトフ氏が参加しただけで、サハリンエナジーなど外国の石油会社は、問題解決に対し何の権限も持たない広報の社員を送ってきました。

これは、サハリンエナジー社とその株主であるシェル、三井、三菱が、サハリンの先住民族を軽視していることを意味しています。

もはや我々には、建設を妨げる長期的な抗議行動を取る以外に、サハリンの先住民族の環境、自然資源、伝統的生活様式を守る可能性は残されていません。

サハリン先住民族組織の代表は、サハリンIIプロジェクトの融資を検討している各行の総裁に対し、こうした問題を解決するための協力を要請します。抗議活動は2005年1月20日から実施予定ですが、その期間、サハリンエナジーと先住民族の調停役として貴行から代表をサハリン島へ派遣しほしいのです。こうした調停が、問題解決に向け重要な役割を果たすことを確信しています。

貴行の代表がこの期間にサハリンにいることが、先住民族に対する石油会社やロシア政府からの不当な弾圧を防ぐ事になることにもどうぞ留意してください。

このレターに対する返事をメールあるいはファックスでいただけるようお待ちしています。


Alexey Limanzo,
President of the Association of Indigenous Peoples of North Sakhalin Region
(サハリン北部先住民族協会代表)

Vladimir Sangi,
Chair of the Council of Elders, Noglik Society of the Nivkh People Ketnivgun,
tribal chief and member of the UN Economic and Social Forum organization International League for Human Rights
(ノグリキ地域ニブフ長老議会議長、国連経済社会フォーラム組織人権国際連盟部族長)

Kim Limanzo,
Chairman of the Association of Indigenous Peoples of Nogliki District
(サハリンノグリキ地区先住民族協会議長)

Vladimir Machekhin,
Chairman of the Regional National Cultural Autonomy "Evenki of Sakhalin Region"
(サハリン地区エベンキ:地方民族文化自治議長)

   
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