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EBRD 年次総会報告 〜「サハリンII 現状に満足していない」―総裁が自ら発言
2004年5月1日
「サハリンII 現状に満足していない」―総裁が自ら発言
     欧州復興開発銀行 年次総会報告

 

 4月18、19日、欧州復興開発銀行(EBRD)の年次総会がロンドンで開催されました。 EBRDは、1991年に設立された国際金融機関で、日本はドイツやイギリス、フランスなどと並ぶ第二の拠出国となっています。年次総会には、各国のNGOや、EBRDが融資する事業によって影響を受けている中央・東ヨーロッパの住民組織の代表なども参加し、問題の解決を訴えるためにEBRDの担当者や総裁と会合を持っています。

 今年の総会の大きな話題のひとつが、現在EBRDを始め、国際協力銀行(JBIC)、米国輸出入銀行、英国輸出信用保障局が融資を検討しているロシア・サハリンII石油・天然ガス開発事業第二期工事でした。融資総額は50億ドルに上ると言われています。シェル・三井物産・三菱商事の3企業により進められている大事業です。


 本事業が進められるサハリンは、生息数わずか100頭と言われるニシコククジラや北海道で越冬するオオワシ・オジロワシなど、絶滅の危機にある野生生物が多く生息する地帯であるにもかかわらず、企業による調査や対策が不適切であることが各国のNGOや専門家から指摘されています。また油流出事故が発生した場合に、北海道の漁業や自然環境に影響を及ぼす可能性が高いことから、日本国内でも懸念の声が上がっています。

 総会前日、「クジラのお葬式」と題したデモを行いました。黒い服装に身をつつんだ一団が、クジラの悲鳴をバックミュージックに、骨と化したクジラを運んで歩くさまは、悲壮さが漂っていました。最終到着地点はもちろんEBRD本部前。その場で、環境局長に対し、手紙の贈呈が行われました。歩きながらサハリンIIの概要や問題を記した小さなビラを配ったのですが、自ら進んで受け取りに来る市民が少なくないことに、とても驚きました。

 そして総会前後を含めた期間中、総裁や環境局、サハリンの担当者、各国の理事との会合では、何度も「環境審査に当たり、情報が不十分である」との声がEBRD側から聞かれました。記者会見では、総裁が自ら「今の情報や事業者からの回答に我々は満足していない」と発言しました。また、EBRDのニュースレターでも、サハリンIIが既に第一期工事で費用超過を引き起こしていることを取り上げ、「サハリン事業にロシアが憤怒−ロシア大臣がシェルの費用見積もりを非難」という記事がトップページに掲載されるなど、サハリンへの関心の高さを感じました。

 またいみじくも、本事業の一環として、北海道とサハリンの間に位置するアニワ湾に海底浚渫土砂が投棄されており、これに北海道漁業関係者やNGOが反発していることが新聞報道で伝えられました。この件に関しては事業者に対し、昨年秋より詳細な情報を求めていたにもかかわらず、ほぼ同時期から既に投棄が始まっていたのです。

 融資機関が環境審査をし、融資を検討している間にも、工事は着々と進んでいるのが現状です。融資機関は「自行のガイドラインに反していれば融資しないまでだ」と言いますが、実際には環境への配慮、社会への配慮が後手に回っているのです。EBRDやJBICのガイドラインにもあるように、影響を未然に回避することが、第一に考慮されるべきだと考えます。  
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