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メトロセブ開発
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プロジェクトの概要
1.フィリピン:第3次メトロセブ開発計画とは?
※このページは『セブ・ボホールネット』のファクトシートを掲載させていただいております。
 プロジェクトのより詳細な情報は、『セブ・ボホールネット』までお問い合わせください。
  →セブ・ボホールネット(担当:西井)
    TEL/FAX: (0586)23-5017
    E-mail: cbnetnagoya@yahoo.co.jp
    https://www.geocities.jp/cbnetnagoya/


プロジェクトの概要

<セブ南部埋立て事業>


目的: 国内及び海外企業が投資する輸出加工区として雇用を創出。(総面積306ha。工事期間1997年4月 2日〜2002年6月)

事業実施者: セブ市

融資機関: 国際協力銀行(JBIC)(旧海外経済協力基金:旧OECF)

建設業者:東洋建設株式会社

コンサルタント: 片平エンジニアリング・インターナショナル、日本工営、東光コンサルタンツ、オーバーシーズ・プロジェクト・マネージメント・コンサルタント、CEDCO(フィリピン)、Philippines Dravo CorporationによるJV


<セブ南部海岸道路建設事業>

目的:セブ市南部(特に埋立地)とビジネス中心地区及び国際空港・ 商業地区をダイレクトに結ぶ。
    Segment-2(Causeway Section)=6レーン4.86kmの道路と護岸工事。工事期間1998年1月20日〜。2002年6月6日現在工事達成率93.1%。
    Segment-3(Viaduct Section)=1.52kmの高架道路と1.37kmの地下道。工事期間1998年1月20日〜2003年4月27日

事業実施者:公共事業道路省(フィリピン政府)

融資機関:国際協力銀行(JBIC)(旧OECF)

建設業者:Segment-2 東亜工業(75億8,700万円)
        Segment-3 大成建設・丸紅によるJV(43億6,100万円)

コンサルタント:片平エンジニアリング・インターナショナル、日本工営、東光コンサルタンツ、オーバーシーズ・プロジェクト・マネージメント・コンサルタント、CEDCO(フィリピン)、Philippines Dravo CorporationによるJV


*メトロセブ開発計画(MCDP)とは?
 第1次から第3次までの三つの計画全体をメトロセブ開発計画という。特に第20次円借款として1995年に円借款契約を締結した第3次メトロセブ開発計画はそれまでの二つの計画をはるかに上回る規模の大きな計画となっている。
(1)MCDPT(第1次) 旧OECFによる第15次円借款 1988年 20.63億円
  道路及び橋、街路灯、道路への転換、交通管制、南部バスターミナル
(2)MCDPU(第2次) 第16次円借款 1989年 43.01億円
  道路・橋、南部バスターミナル、固形廃棄物管理システム、タリサイ及びマンダウェイの公設市場
2.日本との関わり
国際協力銀行の役割
第20次円借款(1995年借款契約締結)

<セブ南部埋立て事業>
 借款契約日 1995年8月30日
 借款契約額 123億1500万円(据置期間10年、返還期間30年)

<セブ南部海岸道路建設事業>
 借款契約日 1995年8月30日
 借款契約額 183億9100万円(据置期間10年、返還期間30年)

日本企業の関わり
<セブ南部埋立て事業>
建設業者として東洋建設株式会社。コンサルタントとして、片平エンジニアリング・インターナショナル、日本工営、東光コンサルタンツ、オーバーシーズ・プロジェクト・マネージメント・コンサルタント

<セブ南部海岸道路建設事業>
建設業者としてSegment-2で東亜工業、Segment-3で大成建設、丸紅。コンサルタントとして、片平エンジニアリング・インターナショナル、日本工営、東光コンサルタンツ、オーバーシーズ・プロジェクト・マネージメント・コンサルタント
3.問題点
A.社会環境への重大な影響
1)海水の汚染
 ・突然目の前を埋立によって囲い込まれた地区では、内部の海水の循環が断ち切られ、水質が極度に悪化。
 ・ゴミが堆積、腐敗。常に悪臭が漂う。

2)生活基盤の根底からの喪失
 ・以前は目の前の海で、手で魚や貝を採ることができたが、現在ではまったく不可能になり、生計手段と食糧そのものを失う。
 ・現在は、缶を集めたり内職や日雇いでなんとか生計を立てているが、低収  入で不安定な就労。
 ・学校に行けなくなっている子どもたちも少なくない。

3)健康被害
 ・環境の悪化から、熱、咳、下痢、肌の炎症などが急増。死に至るケースも。特に子どもたちの健康に重大な影響を与えている。
 ・収入がなくなっため医者に行けなくなっている。

4)立ち退きとその不安
 ・実際に立ち退いた住民の生計手段の確保ができていない。移転先すら与えられていないケースも。
 ・いつ、どのような形で立ち退かされるか分からず不安。

5)土砂採取地における生活破壊
 ・埋立用土砂採取地のナガ町では、採取後土壌がむき出しのままで、山崩れによって家屋・耕作地に被害。
 ・土壌流出で川が濁り、生活用水として利用できなくなった。
 ・土砂を満載したトラックが頻繁に往来したため、路面がガタガタになり通行に支障。
 ・粉塵によって住民への健康被害が起きている。
B.計画〜実施プロセスに関する諸問題
1)F/S(実行可能性調査)における問題点
 ・実施は公共事業道路省
 ・被害を受ける住民の定義と算定方法の不存在
 ・環境への影響予測の不足
 ・対象地域の住民の生活と文化に対する配慮の不存在

2)EIA(環境影響評価)における問題点
 ・埋立地の対岸に居住する住民の生活にたいする配慮の不存在(生活様式、就業形態、人口構成など)
 ・埋立地と対岸との間の海水路の環境配慮の不存在(滞留が引き起こす海水の汚染)
 ・海水路へ流入する河川の流出物についての配慮の不存在(海底のヘドロの腐敗による汚染)
 ・埋立て海域を流れる海流の調査の不存在(漁場の喪失)

3)全体に共通する問題
 ・住民参加:住民に相談もなく調査が行なわれ、計画が策定された。
 ・情報公開:工事内容、範囲、予想される影響についての説明がない。
C.補償
1)影響を受けた住民の数
 セブ市によると・・・
  (同意をして)移転した ・・・・・・306世帯
  移転しないが影響を受けた・・・・・356世帯
                 合計662世帯
 NGOによると・・・
      合計26,000世帯(約15〜20万人)

2)補償内容
 JBICがセブ市から聴いたところによると・・・
 非自発的移転の対象者については
 ・保証金(直接的な移転補償費)
 ・生計支援のための補償プログラム(職業訓練)
 →この保証金の行方自体も明確でなく現地で様々な憶測が飛び交っている。

3)JBICの立場
 ・あくまでフィリピン政府が対応すべき事柄。
 ・JBICは側面支援→この案件をめぐっては、両者(NGOとセブ市)が会う場をセッティングすること
  セブ市とSPAN(問題提起をしているNGO)との交渉
    2001年1月、7月、8月、2002年4月、8月JBICの職員が同席
4.現在の状況
1)陸上部から埋立地へ通じるアクセス道路計画
 ・新たな立退き問題が生じる。
 ・水路をまたぐ橋の部分について、埋立て予算の残りを使う。
 ・道路はセブ市の予算で建設する。

2)NGOが住民の健康診断を実施(2003年8月)
 ・健康診断
 ・歯科治療

3)JBICによる社会影響調査
 ・2003年10月22日、実施方法について住民との協議が行なわれた。
 ・実施期間:2003年11月〜2004年1月
5.問題解決に向けて
1)やるべき内容(もはや前の状態に戻すのはきわめて困難)
 A.環境の回復
  (1)海水路における水質調査
  (2)ヘドロの成分分析
  (3)海水路の浚渫による環境の回復
 B.収入源の確保
  (1)漁業に必要な道具・器具の援助
  (2)雇用創出 
  (3)新規小規模事業のための資金貸し付け
 C.コミュニティの生活改善
  (1)衛生状態の改善
  (2)飲み水の確保
  (3)トイレの設置
  (4)子どもの健康の向上
  (5)教育の確保
  (6)居住権の確保

2)その方法の例
 ・住民参加による問題の発掘と理解
 ・保健ワーカーによる住民や子どもに対する健康づくりの働きかけ

3)これ以上の強制立ち退きを出さない

4)今後こうした問題を今後起こさないための提言活動
  (対岸のボホール島でもODAによる開発が進められようとしている)

*問題の多重構造性
<a>都市スラムに共通の問題(貧困、失業、低収入、不安定就業、居住環境)
<b>埋立てと道路建設に起因する問題(漁場の喪失、生活の不安定化、環境汚染)

※<b>をもたらす直接的原因が日本のODAにある
※<a>と<b>が複合的に絡まりあっている多重構造の問題としてみるのが現実的な解決への近道。
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