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環境社会配慮政策及び情報公開政策ドラフトに対するコメント

right

国際金融公社(IFC)の社会・環境的持続可能性に関するパフォーマンス基準・政策案
及び情報公開政策案への意見書(日本語要約)

2005年11月25日
Friends of the Earth Japan
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
メコン・ウォッチ

全文(英語)

*英語版が正式な書類です

 
A. 社会・環境的持続可能性に関する政策案(PSES)への意見
1.
社会・環境的持続可能性に関するパフォーマンススタンダード(以下PSs)の要件を満たしていない案件に関して、IFCは融資しないことを明記するべきである。PSESでは、「IFCは融資するプロジェクトがPSsの要件を満たすことが確保されるよう求める」と書かれており、PSsの要件を満たすことが期待できれば、融資を行うことが可能となっている。
2.
IFCのネガティブスクリーニングの指標である「Exclusion List」を環境社会的側面に関する審査手続き(ESRP)のみではなく、理事会決定文書であるPSESに書き込み、公的機関としての環境・社会問題の解決における社会的コミットメントを明示するべきである。
   
B. パフォーマンススタンダード案への意見
PS1. 社会環境影響評価及び管理システム
社会環境影響評価(SEIA)
3.
SEIAを実施するときに、外部の評価者が評価を行うことを要件とするべきである。既存の政策では、カテゴリーAにおいて要件としており、明らかな基準の低下である。IFC は、外部の評価者を要求しない理由を「クライアントの能力向上」としているが、外部の評価者を導入すべき理由は、公正な影響評価プロセスを行うことであり、環境・社会影響の回避・最小化という政策の目的に従えば、公正な影響評価プロセスの確保はクライアントの能力向上よりも優先されるべきである。
4.
重大な影響を及ぼす案件においては、スコーピング案、SEIAのドラフト及び完成版を影響を受ける住民が理解可能な言語・様式で公開するべきである。また、限定的な影響を及ぼす案件においてはSEIAに準ずる文書を公開するべきである。PS1では影響評価の結果を示せば良いことになっているが、どのような手法で結果が導き出されたのかが公開されなければ、その結果の正当性をステイクホルダーが判断することは不可能である。
   
社会環境管理プログラム(SEMP)
5.
技術的・経済的に実現可能であれば、影響の回避や予防を、削減・最小化・補償よりも優先させることになっているが、「経済的に実現可能な場合」という文言があいまいであり、回避策や予防策の取り組みを弱める可能性のあるこの文言は削除するべきである。また、代替案の実施要件として「経済的に実現可能な場合」という文言が、PS6(生物多様性)やPS8(文化遺産)にも見られるが、これらの表現も削除するべきである。
6.
アクションプランの作成時に、被影響住民がどのように参加できるかが不明確である。アクションプランには、すべての緩和策を記載し、アクションプラン案は、SEIAのドラフトレポートと同時期に影響を受ける住民に対し、理解可能な言語・様式で公開するべきである。
 
コンサルテーション
7.
PS1では、追加的な影響が明らかとならなければ、再度コンサルテーションを開かなくても良いとされているが、これはクライアントが選択した影響評価手法の正当性を住民が判断する機会を奪っている。クライアントが調べた結果、特に影響が現れなかったとしても、評価手法が適切でないこともありうる。その手法の正当性を住民が判断するためには、特に評価結果で影響が現れなかったとしても、コンサルテーションを行う必要がある。
したがって、重大な影響を及ぼすプロジェクトにおけるコンサルテーションは、少なくともSEIAのスコーピング案の段階、またSEIAのドラフトが完成した段階で行うべきである。この要件は既存の政策(OP4.01)においても確保されている点であり、このドラフトの基準は、明らかに低下している。
8.

言語・様式については、「特別な配慮を行う」としか規定されていない。被影響住民が理解可能な言語・様式で文書が公開されるかどうか明らかでない。スコーピング案、SEIAレポート及びアクションプラン(両方ともドラフトバージョンを含む)、モニタリングレポート等の重要文書は、被影響住民に理解可能な言語・様式で公開するべきである。

9.

クライアントがコンサルテーションの結果を文書化することは要件とされているが、これらの結果を公開するかどうか明らかでない。公開文書にコンサルテーションの結果及びクライアントの対応策を添付することを義務付けるべきである。

 
苦情処理メカニズム
10.

苦情処理メカニズムの対象範囲が「予期された影響」に限定されている。プロジェクト進行に伴って予期しなかった影響が発生することもあるため、「予期された影響」に限定するべきではない。

 
モニタリング
11.

クライアントが社会・環境モニタリングレポートを公開するかどうか明らかでない。モニタリングレポートが住民に対し理解可能な言語・様式で公開されなければ、住民は実施中にどのようなリスクや影響があるか知ることができず、適切な緩和策を講じるようインプットすることも難しい。したがって、クライアントは、社会・環境モニタリングレポートを被影響住民に対し理解可能な言語・様式で公開し、問題がある場合は、速やかに改善することをPSに明記するべきである。

 
PS5. 土地収用と非自発的移転
対象範囲
12.

PS5の導入部分において、「非自発的移転とは、プロジェクトに関連する土地収用の結果として生じる住居移転及び経済的移転を示す」と書かれている。土地収用以外で生じる経済的・社会的損失(例えば漁業資源の喪失や共有森林の喪失など)に対する補償措置はPS5の対象範囲となっておらず、PS1で言及されているのみである。しかし、PS1では、PS5で要件とされている「被影響住民の生活レベルを最低限維持・改善すること」を要件としていない。したがって、この要件はPS1に書かれるべきである。

 
移転の要件
13.

クライアントは影響を受ける住民に対して、補償方法・内容や移転作業に関わる文書だけではなく、土地収用や補償に伴うあらゆる行為・取引等において、約束の不履行等を防止するため、口頭のみではなく、住民が理解可能な言語・様式で書かれた文書を作成し、その写しを住民に交付するべきである。

14.

土地に依存して生活している人の移転の場合、代替地の提供や金銭による補償等、移転対象者が補償の形態を選択できるようにするべきである。

15.

アクションプランの構成が不明確で、移転計画書がアクションプランに完全に含まれるのかどうかが明らかでない。クライアントは、ドラフトを含めた移転計画書を被影響住民に対して理解可能な言語・様式で公開するべきである。

   
政府に一義的な責任のある移転
16.

政府の一義的な責任で移転が実施される場合の要件が明確ではない。原則的に、クライアントは政府が一義的な責任で移転を行う場合でも、PSsのすべての要件を満たすべきである。

 
PS 6. 生物多様性
17.

Biodiversity Action Planの作成を義務付けることをガイダンスノート(GNs)のみではなく、PSsに明記すべきである。

18.

プロジェクトの便益がコスト(環境コスト)を上回る場合、Natural Habitatの改変が可能としているが、コストを低く見積もることで、この要件をクリアーすることは容易であり、環境コストの計算方法の指針を定義しなければ、この規定は実質的な意味を持たない。したがって、この項目を入れるのであれば、PSsにおいて、環境コストの計算方法の指針を定義するべきである。その定義ができないのであれば、この項目は削除するべきである。

19.

既存の森林政策では、IFCは、原生熱帯雨林の商業伐採や器具の購入には融資をしないことが定められている。IFCはパブリックコメントに対する返答の中で、森林に対しては包括的なアプローチを採用することを理由に、原生熱帯雨林の商業伐採や器具の購入には融資をしないとの要件を削除することを主張しているが、逆に、包括的なアプローチを採ることは原生熱帯雨林の伐採を容認することになり、この要件を削除する正当な理由とはならない。したがって、この要件はPS6及びExclusion Listに明記すべきである。

20.
IFCは違法伐採による木材調達に関係する全てのプロジェクトに支援をしないという要件を含めるべきである。
   
PS7. 先住民族
21.

先住民族の土地を使用する際に、クライアントが、先住民族コミュニティの幅広い支持(broad community support)を要件としておらず、この要件はPSESの中でIFCのみに課せられている。IFCは、プロジェクト対象地域だけではなく、国際的にも幅広い支持をとることが求められている。このIFCに対する要件に加えて、クライアントもプロジェクト対象地域において、幅広い支持を得ることの責任がある。したがって、このクライアントの義務をPS7に明記するべきである。

22.

先住民族の土地利用を調査する際に、専門家を採用することが定められているが、これは独立した専門家とするべきである。

 
C. 情報公開政策ドラフトへのコメント
全体へのコメント
23.

翻訳に関して以下の点を政策に含めるべきである。

A) SPIをプロジェクト地の言語に翻訳し公開するべきである。PSsでは、クライアントはIFCの関与に関する情報の公開を義務付けられていない。被影響住民やプロジェクト実施国の市民は、IFCのプロジェクトに対する関与に関する情報にアクセスする権利があり、SPIの翻訳は彼らの情報へのアクセスを確保するために不可欠である。
B)

IFCは、主要な政策の現地語への翻訳を進めるべきである。これらの文書の中にはPSES、PSs、情報公開政策、CAOの運営指針が含まれる。これらの政策文書を翻訳する重要な目的は、案件の準備、実施において、被影響住民の声を取り入れることにあり、これらの翻訳は、被影響住民の理解と参加を促進させることを可能とする。

24.

情報公開政策は、IFCの透明性及びアカウンタビリティの確保と、ステイクホルダーによる十分な情報公開に基づいた意思決定への参加を目的とするべきである。

25.

新政策施行日以前にIFCが取得・作成した文書も、新政策の公開請求の対象とすべきである(脚注3)。施行日以前の文書であっても、公開によって支障が起こる場合、パラ9の非公開事由によって非公開とされる。

   
公開原則と非公開事由
26.

パラ8全体を削除するべきである。公開対象文書が、「IFCの業務活動・開発効果および他のIFCの活動の影響・IFCの開発への寄与に関して、パートナー・被影響住民を含むステイクホルダーおよび他の一般公衆が理解を深め、情報が公開された上での決定を可能にする、IFCの活動に関する組織情報」ならびに「セクションIII. Cに定められた個別投資関連情報」の2点に限られている。公開の障害となるこのような例外を作る正当性は存在しない。このような制限は、以下のような理由から、この政策の目的を著しく弱体化させている。

A) パラ9に示された「Presumption in favor of disclosure」の原則は、完全に空文化している。通常この原則は、非公開とする正当な理由がない限り、すべての文書が公開されることを意味する。しかし、ドラフトでは、正当な理由がなくても上記2つのカテゴリーから除外されている文書を非公開とすることが出来る。なお、このドラフトは、他の国際金融機関の政策と比べても低いものとなっている。
B)

ステイクホルダーの視点から考えれば、IFCが保持する全ての情報は、IFCに関する理解促進や意思決定への参加のために必要であり、これらの定義に当てはまるかどうかをIFC自身が判断すべきでない。

C) 個別投資に関する情報は、被影響住民の意思決定への参加のために必要不可欠であるにも関わらず、公開と定められていない限り公開請求の対象とならず、IFCの個別投資に関する文書はほとんどが非公開とされることになる。公開によって支障をきたすと考えられる情報については非公開情報としてパラ9で定めるべきである。
27.

パラ9の本文は、「IFCが保有する全ての情報について、公開が推定される。IFCは、下記の理由が存在する場合を除き、全ての情報を公開する。ある文書の一部に非公開とされるべき情報が含まれる場合、当該文書は非公開情報を除いた上で公開される」とすべきである。現在のパラ9は、下記の問題点がある。

A) 情報公開の範囲をパラ8に定義されている文書に限定するべきではない(上記の説明を参照)。
B)

すべての非公開事由は明確に定められるべきであり、例外を設けるべきではない。現在のドラフトでは、非公開事由についてIFCの無制限な裁量を可能にし、ステイクホルダーにとって予見不可能なものになっており、このような規定はIFCのアカウンタビリティを低下させる。すべての非公開事由はパラ9で定義されるべきである。

C) 公開請求された文章の一部に非公開情報が含まれていた場合、その文書は、非公開情報を除去した上で公開されるべきである。パラ34で部分公開が暗示されているが、この規定は、パラ9において、要件として明示的に規定されるべきである。
28.

パラ9 (a)の前半部分は、「クライアントまたは第三者から提供された情報であって、公開された場合、実質的に当該第三者の商業上の利益および競争上の地位を実質的に損なうおそれがある情報」とするべきである。現在のIFC案は、金融・ビジネス上の情報について、その公開が実質的に第三者を害するか否かにかかわらず、全てを非公開とする規定となっており、きわめて不適切である。また「non-public information」についても一律で非公開とされており、これを文字通りに適用すれば、IFCが公開するのはすでに一般に公開された情報のみとなり、政策全体がまったく意味を持たないことになる。

29.

パラ9 (a)の後半部分は削除すべきである。IFCとクライアント間の法律文書及び交信には、クライアントの環境社会配慮上の義務と、義務違反の場合のIFCのremediesが定められており、これらを他の金融上の融資条件と一括して非公開とすることは案件実施段階において、ステイクホルダーの参加を阻害することになる。法律文書やクライアントとの交信に含まれる金融・商業上の機密情報については、(a)の前半及び(b)で非公開とされる。なお、IFCとクラアント間での法律文書のうち、クライアントの環境社会上の義務を定めた部分については、別途公開されるべきである(パラ13)。

30.

パラ9 (b)は、「公開された場合、健全な意思決定および率直な意見交換を損なうおそれがある情報」と書き直すべきである。(b)についても文書の種類による非公開を定めており、これら文書には公開しても何ら支障がないものが含まれており、このような情報を非公開とするべきでない。あくまで、健全な意思決定の確保、自由な意見交換という利益を実質的に損なうおそれがある場合にのみ、非公開とされるべきである。

   
個別文書
31.

SEIA報告書(カテゴリーBの場合は同様の文書)・行動計画・モニタリング報告書およびこれらのドラフトを、クライアントからの受理後速やかに、IFCが公開するべきである。カテゴリーAプロジェクトについては、SEIA報告書および行動計画を理事会60日前までに公開すべきであり、またカテゴリーBについては、同様の文書を理事会30日前までに公開すべきである。ドラフトでは、クライアントから受け取ったSEIA及び他の環境社会関連文書をIFCが公開することが要件とされていないが、この事は、既存の政策からの主な後退要素である。他の国際金融機関では、クライアントのみではなく、機関自身も社会環境影響評価文書を公開することが規定されている。IFCは一貫して、これはクライアントの役割であり、IFCが公開することはIFCとクライアントの責任を混同させることになると述べている。しかし、IFCが公開することは、クライアントの努力を妨げるものにはならず、被影響住民及び広範囲な市民に対して情報のアクセスを確保するというクライアントの責任を補完するものである。クライアントの情報公開に全面的に依存することは、以下のような理由から不十分であると考える。

A) クライアントが影響を受けると特定したコミュニティにのみ情報が公開されたとしても、クライアントが認識していない影響コミュニティが存在する場合に、これらコミュニティの住民が情報にアクセスできない。これは越境的な影響が想定される場合、特に深刻なものとなる。
B)

当該国内及びIFCの加盟国の幅広い市民も、重要なステイクホルダーであり、IFCは、これらのステイクホルダーからのインプットを受ける機会を失うことになる。

32.

パラ19は削除するべきである。IFCが検討したが将来にわたって融資することのないプロジェクト情報を公開しないとしているが、パラ9の非公開事由によって対処可能である。

33.

理事会に提出される文書は、パラ9に定義されている非公開情報を取り除いた上で、理事への回覧と同時に公開すべきである(パラ21(e))。公的機関であるIFCは、どのようなプロジェクトを理事が検討しているかを、そのドナー国の市民に対して公開する責務がある。

34.

PSESと同様にESRPおよびGNsを公開するべきである。GNsはPSsの説明文書であり、ESRPはIFCが守るべき手続を定めた文書であり、外部のステイクホルダーがPSsを理解するためには、これらの文書が自動的に公開される必要がある(パラ22(d))。

 
請求プロセス
35.

IFCは情報公開に必要な費用を徴収するべきでない(パラ29)。少なくとも、途上国住民からの文書公開請求に対しては、必ず無料で応じるべきである。

36.

IFCはField Officeにおいても情報公開請求を受け付けるべきである(パラ29、32、33)。

37.

IFCは、情報公開請求を、英語の他、IFC加盟国の公用語・国語で受け付けることを明示するべきである。

38.
情報公開請求に対しては、30日以内に、公開・非公開に関する決定内容とその理由、あるいは判断に30日以上の日数がかかる場合はその理由と新たな回答期限を、請求者に通知するべきである(パラ34)。「a timely manner」では、必要な時間がまったく明らかにならない。また公開が遅延する理由を明らかにするとしているが、期限が定められていなければ、遅延の有無を判断することもできず、期限を定めない限りこの規定は意味をなさない。
39.
パラ8については削除されるべきであるから、情報公開政策アドバイザーはパラ8に基づいて判断を行う必要はなく、パラ9に定められた非公開事由が存在するかどうかについて、IFCの決定を審査すべきである。また、情報公開政策アドバイザーは60日以内に回答するべきである(パラ35)。
   
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