|
ダム、道路、発電所、鉱山開発――。日本政府は、税金などの公的資金を投入し、海外の大規模開発プロジェクトを数多く支援しています(※1)。その額は、政府開発援助(ODA)や日本企業の海外進出への支援、また国際金融機関(IFI)(※2)を通じたものを合わせ、年間数兆円にものぼります。
FoE Japanは、日本が資金を支援する海外の大規模開発プロジェクトにおいて、環境社会配慮を促進させ、問題点を改善しつつ、途上国のコミュニティが実施するプロジェクトへの支援を行っています。
●海外の大規模開発プロジェクトとFoE Japanの取り組み
日本でもダムや道路建設の必要性、また、その自然破壊がたびたび議論になりますが、海外でも、特に民主的なガバナンスや情報公開などが確立されていない国々では、環境破壊や人権侵害など、さらに深刻な問題が生じることがしばしばあります。
過去には、日本が支援した大規模開発プロジェクトにおいて、現地の住民が脅迫的な手段で移転を迫られた事例、移転後に貧困化した事例、公害が発生し住民が被害を受けた事例等があり、地元コミュニティや国際社会から批判の声が高まりました。
その反省から、国際協力銀行(JBIC)や国際協力機構(JICA)などは、事業が与える負の影響を回避・緩和するため、「環境社会配慮ガイドライン(以下、ガイドライン)」を制定しました。ガイドラインは、支援事業の計画策定段階から、事業の環境社会影響を評価し代替案を検討することや、情報公開やステークホルダー協議を行うことを規定しています。
しかし、ガイドラインの制定で全ての問題が解決するわけではなく、実際に最大限に環境社会影響を回避・最小化できるかは、今後の運用にかかっています。問題の背景には、現地の社会や政治の状況、ガバナンス、支援機関や事業者の環境社会問題に対する意識のレベルや認識などの様々な要因が複雑に絡み合っているからです。
問題を解決するには?――私たち日本の市民にできること
FoE Japan は、海外の事業を支援する機関に対し、公的資金の使い道に関する情報公開の促進、アカウンタビリティー(説明責任)の向上、またガイドラインのレベル及び実効性の向上、運用の改善を求めています。
特に、JBICやJICAのガイドライン策定時には委員会メンバーとして参加し、過去に生じた問題が繰り返されないよう、ガイドラインにその予防策を取り入れるべく提言を行ってきました。
これらの活動は、日本の市民団体として、効果的に問題解決に取り組める一つの方法だと考えています。
●FoE Japanの途上国のコミュニティ支援
政府系機関やIFI による支援は、その多くがインフラ建設などの大規模開発プロジェクトに向けられる傾向があります。インフラの中にも必要なものがあることは言うまでもありません。しかし、大型インフラは大きな利害関係を生みやすく、その結果、事業の必要性が十分に検討されないまま、トップダウンで実施されることも少なくありません。
FoE Japanでは、コミュニティの声に耳を傾け、コミュニティのニーズに応え、コミュニティが主体となって実施するプロジェクトを重視しています。
そのパイロットプロジェクトとして、インドネシア・ジャワ島のスマラン市において、住民マングローブ再生プロジェクトとアグロフォレストリープロジェクトへの支援を実施しています。
いま途上国では、海面上昇、洪水・旱魃の多発など深刻化する気候変動の影響に対応すること(=適応)が重要になってきています。適応事業というと連想されるのは政府が行う公共工事としての堤防やダム建設ですが、FoE Japanが支援するこれらのプロジェクトは、現地のコミュニティが適応の重要性に関する理解を深め、自主的に事業を進めることをモットーにしています。
※1)海外での大規模開発プロジェクトを支援する日本の政府系機関
・国際協力銀行(JBIC):
日本の資源確保に資する資源開発事業の促進、日本企業の海外進出の促進を目的に、
年間約1兆円以上の融資や出資を承認。
・国際協力機構(JICA):
日本の政府開発援助(ODA)の大部分を実施。年間の総事業規模は約1兆円程度。
・日本貿易保険(NEXI):
企業の海外進出の支援を目的に、年間約10兆円弱(2007年度)の保険の引受実績。
・石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC):
資源開発の調査、事業に対する出融資・債務保証の実施。支出予算は年間2兆円弱(2009年度)。
※2)IFI には以下のような機関が含まれます。IFI の運営は出資規模に応じて投票権が与えられるため、
主要な出資国である日本は、投票行動がその運営に大きな影響を与えることから責任も重大です。
・世界銀行 ・・・日本はアメリカに次ぐ第2の出資国
・アジア開発銀行 ・・・日本はアメリカと並び最大の出資国
・アフリカ開発銀行 ・・・日本はナイジェリア、アメリカに次いで、第3の出資国
このページの先頭へ
|